狭い門 Narrow Gate 2008 10 11
アメリカの金融業界の断末魔の苦しみを見ると、
どうしても、聖書の「ある文章」が思い浮かぶ。
「狭い門から入りなさい。
滅びに通じる門は広く、その道も広々として、
そこから入る者が多い。
しかし、命に通じる門は、なんと狭く、その道も細いことか。
それを見いだす者は少ない」(マタイによる福音書)
聞くところによると、
サブプライムローンの最盛期には、NINJAローンまで登場したという。
それは、「No Income No Job & Asset」で、NINJAという。
つまり、無収入、無職、無一文でも、住宅ローンが組めたのです。
そういうものまで証券化して売り飛ばしていたのでしょう。
もちろん、誰もが、「これは悪いことだ」と気づいていたのでしょうが、
誰もが、利益至上主義というチキンレースから降りることができなかったのでしょう。
チキンレース 2008 8 24
「バブルは崩壊して初めて、バブルだったと知る」
それは、現代においては、誤りです。
昔は、勘に頼った投資をしていたから、
「バブルは崩壊して初めて、バブルだった」と知ることになりましたが、
今や、一般投資家ですら、詳細なデータを手にすることができるのです。
たとえば、株式投資ならば、チャートに、PERやPBR、株価指数、RSI、MACDなど。
すべてのデータがバブルを警告している場合だって、あり得るのです。
それでも、現代においては、
バブルだと知りつつも、バブルに乗るのです。
なぜか。
これは、学者にはわからないと思います。
実際に投資をしている人に聞くのが早いと思いますが、
回答は、こういうことだと思います。
あなたが投資ファンドを運営していたとします。
あなたのファンドが投資している金融商品は、
あらゆるデータを見ても、過熱を示していて、バブルだと思ったとします。
さあ、あなたは、この過熱ゲームから降りますか。
今すぐ、この過熱ゲーム(ババ抜き)から降りれば、
投資ファンドをバブル崩壊から守ることができるでしょう。
しかし、あなたは、投資ファンドから解雇されるかもしれません。
なぜか。
ライバルの投資ファンドは、このバブルに乗じて、大儲け。
基準額の推移を示すグラフは、まるで、鰻登り。
投資家からは感謝のメールが星の数ほど届き、
メディアからは賞賛の嵐。
こうなると、バブルだと知りつつも、止められない。
結局、みんな、バブルだと知りつつも、
誰も、このチキンレースから降りられないのです。
確か、私の記憶が確かならば、
ジェームズ・ディーンが主演した映画で、「理由なき反抗」という映画があったと思います。
その映画では、崖に向かって全速力で車を走らせるのです。
そしてギリギリのところで車から飛び降りるのです。
(あるいは、先にブレーキを踏んだ方が「負け」となったという話だったかもしれません)
誰もが恐怖に怯えながらも、チキン(臆病者)と言われないために、
この無謀で危険なレースを続けるのです。
書名 すべての経済はバブルに通じる
著者 小幡 績 光文社新書
この本には、「現代のバブルが、どういうものか」について詳しいと思います。